今回は日本で少子高齢化が進むと何が起こるのか?を書いていき、後半に幸せな未来を築く方法を書いていきます。
少子高齢化~人口減少が進み、到達する日本の未来
少子高齢化が進んでいくと結果として世の中がどうなっているのか?を簡単に書いていきます。
進み方としてはこうです。
少子化なので人口が減ります。
人口の年齢比率が変わります。
若い年代が減ります。
年寄りが増えます。
これを人口ピラミッドで見てみます。
下は日本の人口ピラミッドの変遷(1950年、2000年、2050年)です。
よく見るグラフですね。
次に、このままいくとどうなるのでしょうか。
2100年はこんな感じになりますというのを、雑ですが作ってみました。
1950年は「富士山型」、2000年は「釣鐘型」、2050年は「つぼ型」と言われていましたが、2100年は、「深鉢型」でしょうか。実際は80歳以上の人口が少なくなるので、上の方がすぼまってきます。
これを働く人目線で考えるとどうでしょう。
2000年と2100年で、働ける人を仮に20~60歳として、人口を比べてみます。
赤枠で囲ったところが、その部分です。
人口はグラフの面積で表されているので、パッと見ても2100年の方が少ないことがわかります。
数字で見るとこうです。
2000年は、72,628千人(7,262万人)
2100年は、24,870千人(2,487万人)
100年で20~60歳が約3分の1になってしまうんですね。
これでは未来は今と同じであるはずがありません。
人口が減ると働く人も減るが、必要な仕事も減る
人口が減ると働く人も減りますが、必要な仕事も減ります。
つまりこうです。
働く人が減ります。
必要な仕事を実行できる人が減ります。
必要な仕事を実行できる総量が少なくなります。
必要な仕事とは主に社会インフラを指します。
役所、警察、消防、病院、水道、電気、ガス、公共交通機関などです。
これを書いている2021年現在ではエッセンシャルワーカーと呼ばれる人が従事している仕事です。
一方で人口が減ると言うことは、提供しなければならない仕事の量自体も減ることになります。
10万人住んでいる町と、1万人住んでいる町では、例えば水を使う量は10分の1なので、超単純に考えると水道に関する設備、人などは10分の1でいいはずです。
このように人口が減ると、公的に提供が必要な仕事の量が減ります。
仕事の量が減ると言うことは、それほど人が必要なくなるということです。
人口が減ったから仕事が減るのですが、仕事が減ると人口が必要なくなるということが起こります。
少し言い換えると、人口が減ると供給過剰な仕事が減ります。
例えば、民間の飲食店で考えると、仮に10万人の町に1000店舗あるのが適切な状態だとしたら、1万人の町に1000店舗あったら過剰と言えます。人間一人が食べられる量は大体決まっているので、必要量の10倍食べ続けるのは無理です。だから10万人の町に1000店舗あり、町の人口が10分の1の1万人になったら、店舗も1000から100になるのが適切です。そこにもし、1000店舗残り続けたら、900店舗分が供給過剰ということになります。900店舗分の仕事は減ることになります。1000店舗が残ろうとすると、100店舗分の売上しかないのに1000店舗あるのですから、売上が10分の1に、収入も10分の1になります。これではやっていけないので店舗の数は減っていき、1000→100に近づく動きになっていきます。
これが人口が減ると供給過剰な仕事が減る流れです。
同じように飲食店以外でも供給過剰な仕事は減ります。
農林水産、建設業、食料品、繊維製品、化学、パルプ・紙、医薬品、電機機器、機械、銀行、金融、サービス業…。
気づいた方もいると思いますが、例に挙げたのは東証33業種です。つまり民間のほとんどの仕事が供給過剰になります。
水道や飲食店の例でわかる通り、公共の仕事も民間の仕事も、両方合わせて、今ある仕事のほとんどが供給過剰になると言うことです。
人口減少とサービスの減少のどちらが減るのが速いか
人口減少すると公共・民間の仕事は共に供給過剰になることはわかりました。
ここで問題になるのは、人口が減ると、仕事をする人が減り、必要とされる仕事も減るのですが、減り方が違うということです。必要とされる仕事の減り方は、人口の減り方と仕事をする人の減り方より遅いということです。
つまり、人は減るけど仕事は減らない状態になります。
一旦は働ける人に今までの仕事が降りかかり、一人当たりでこなさなければならない仕事量が増えます。人口が同じで、高齢者比率が上がり、仮に働ける人の数が半分になったら、その働ける人は2倍の仕事をする必要があります。
先にお見せした2000年と2100年の人口ピラミッドを比べると、人口は126,697千人→72,667千人で43%人口が減ります。働ける人は72,628千人→24,870千人で約66%減っています。仕事の減り方より働ける人の減り方の方が速いです。年齢構成比率が変わらず、全体的に人口が減る場合、2000年と同じ状態を維持しようとすると、働ける人は2100年に41,655千人必要です。しかし実際は24,870千人しかいないことが予測されます。
24,870千人で41,655千人分働かなければ社会を維持できないと考えると、2100年の人は約1.7倍働かないといけないことになります。
このように、人口が減って、さらに高齢者比率が高くなると、働ける人はそれまで働いてきた人以上の仕事をする必要があります。
この現象は、人口が安定化するか、増加化するまで続きます。人口減少中はずっと働く人の負担は増え続けます。
人口減少傾向の社会では、必要な仕事の総量より、働ける人の数が常に少ない状態になるのです。
そして仕事は増え続けても給料は増えません。
そこにも問題がありますが、一旦触れないでおきます。
全てにおいて、効率化が必要になってくる
人口減少の社会で、今と同じレベルを維持しようとすると、どうしても効率化が必要になってきます。
先の例の通り、1人が働ける時間は決まっているのに、約1.7倍の仕事をする必要があるからです。より多くの仕事を、同じ時間でできるようにする必要があるからです。言い換えると今の約2日分の仕事を1日で終わらせるということです。それも毎日です。あなたがこれから働く時間ずっとです。今やっている仕事を2倍のスピードで終わらせるという言い方もできます。
あなたは今やっている仕事を2倍のスピードで終わらせられますか?
あなたは終わらせられるとして、同じ職場の他の全員はどうですか?
人口減少の社会で、今と同じレベルを維持しようとすると、人口が減って仕事の総量は減りますが、働ける人も減るので、全ての効率を約2倍にする必要があるのです。
人口減少の社会では供給過剰な状態が続く
また、人口減少の社会では、供給過剰な状態が続きます。
人口減少に合わせて必要な仕事の総量は減りますが、組織や会社の数はすぐには変わらないからです。仕事の総量の減り方より、組織や会社の減り方は遅くなります。
例えば先ほどの飲食店の例だと、人口10万人の町に飲食店が1000社あったとしたら、その町の、人口が1万人に減ると、1000社も必要なくなり100社でよくなります。過剰な900社はどうなるかというと、ある日突然無くなったりしないので、少しずつ減ります。しかし、減り方は人口減少スピードより遅いので、無くなる過程では一時的に供給過剰が起こります。ですので、人口が減って1万人になっても、飲食店は例えばまだ200社残っている状態になります。いずれ100社になるとしてもです。ズレが起こります。
次に、どうして会社の数が減るのが遅く、このような供給過剰が起こるか?という理由です。
まず、1000社で働いている人は年寄りだけでなく、若い年代の人が混じっています。若い年代の人がいて、会社の仕事の総量が少なくなってくると、売上が減少します。売上が減少すると、当然ヤバいと思うので、その会社の売上を上げようと頑張ってしまいます。それでも売上や利益が下がると、給料が下がります。もっと売上と利益が下がると、最悪倒産し無職になって給料がもらえなくなってしまうからです。そうならないようにがんばってしまいます。
他の会社に移れば?と思うかもしれませんが、たぶん売上の減り始めの最初は頑張ってしまう人が多数なのではないでしょうか。会社の売上がちょっと下がっただけで転職してしまう人は、そうはいないですよね。この先の時代はそうではないかもしれませんが。
だいぶ売上が下がっても、まだ何とかしようとするのではないでしょうか。あと少し原価を切り詰めて・・・とか、こんなにがんばったんだからもう少し・・・とか、サンクコストのバイアスがかかることもあると思います。本当はもうダメな状態なのに、これまでかけた費用や努力が無になってしまうことを嫌がり、ダメな状態をやめられないのです。
この現象は一社だけでなく、各社で発生します。
そうすると、1万人の町に本当は飲食店は1000社もいらないし、存続だってできないのに、その1000社はみんな「自分は生き残ろう」とするのです。
でも各社で頑張ってしまうと、少ない仕事を取り合うようになります。
結果、人口は減って仕事は少なくなっているのに、会社の数は減らない(もしくは減るのが遅い)というズレが生じて、供給過剰な状態が維持されます。
人口減少は更なる人口減少を生む
さて、供給過剰が起こると何が起こるかというと、競争が激しくなるので、値下げが起こり、そのうち倒産や合併が起こります。働く人の目線で見ると、給料減少が起こり、そのうち解雇が起こります。
人口減少社会で、会社の数を減らさずに残ろうとすれば、解雇は回避されるかもしれませんが、従業員一人当たりの給料は減ります。
倒産した場合は、会社の数が減るので、倒産していない会社の一人当たりの給料は変わらないかもしれませんが、倒産した会社から失業者が出ます。また、倒産せずに生き残った会社も、それまでに過剰な競争にさらされている場合、既に一人当たりの給料はかなり減っている状態の可能性があります。
企業合併したらどうか?という話もあります。
合併すれば、一時的には雇用の数は減らないかもしれませんが、もともと供給過剰なので労働力も過剰です。過剰な労働力はいずれ給料減少や解雇という形で調整されていきます。
合併により会社の数が減るスピードが、人口減少スピードと合い、解雇という形で雇用が減少すれば、一人当たりの給料は減らない可能性はあります。ただ解雇された人は、他の仕事を求めるのですが、他の業種も過剰供給状態なので、働く先が見つかるかどうか、といった懸念は残ります。ここでも「他の仕事すれば?」と言うのは簡単ですが、やるのは現実的には難しい問題があります。(人としての個人の問題や、その時の年齢による問題などがあります)
いずれにしても給料減少も解雇も、個人としては使えるお金がなくなる方向になるので、経済全体としては縮小していきます。ちなみに日本のGDPに占める個人消費の割合は、53.5%のようです(2021年6月)。使えるお金が少なくなるので、より安いものが求められ、さらに経済が縮小していきます。デフレスパイラルです。
このように、人口減少→競争激化→給料減少→解雇→人口減少(以下繰り返し)の流れで進んでいきます。
人口減少社会を乗り切る方法は?
それではこの流れに逆らう方法はないのでしょうか。
話を簡単にするために、日本だけの視点で見ると、方法は一つです。
それは従業員にちゃんと給料を支払うことです。
経営者の方は「ちゃんと払ってるよ~」と思うかもしれません。
もちろん払ってないとは言いませんし、毎月振込などされていて、遅延など無いと思います。
ここで言う「ちゃんと」は「ちゃんとした額」を支払いましょうということです。
仕事の能力、成果、実績、負担、時間、責任に「見合った」額を支払ってますか?
「安く抑えたいから」と、本来支払うべきものを支払っていないことはありませんか?
能力に見合った額を払っていますか?
成果に見合った額を払っていますか?
実績に見合った額を払っていますか?
負担に見合った額を払っていますか?
時間に見合った額を払っていますか?
責任に見合った額を払っていますか?
例えば、今は少ないのかもしれませんが、社員が勝手に残業していることを「ラッキー」と思っていませんか?
別の例では、200%の営業予算を達成した人(または部署など)にそれなりの対価を支払っていますか?まさか同じということはないですよね?
また別の例では、50時間かかる仕事に10時間分の報酬しか支払ってない、などということはありませんか?
これらは一例ですが、ここが適切に行われなかった結果が、今の日本の状態に現れていると思います。
だから、ちゃんとした額の給料を支払うことが、人口減少社会を乗り切る方法になります。
ちゃんとした額の給料を支払うとどうなるか、次のようになります。
人口減少が進むにつれて、仕事の総量が減っていくのは、先に書いた通りです。
では総量が減っていくとき、何をしたらいいのか?を考えます。
売上は、顧客数×単価×回数です。
顧客の数を増やすこと。
単価を上げること。
リピート回数を増やすこと。
この3つです。
顧客の数の視点で考えると、市場を広げることです。
日本を一つの市場と捉えると、市場を広げるには人口を増やすことです。(ひとまず海外は無視します)
でも今は人口が増えていないことが問題になっています。
人口が増えない理由はというと、子供が生まれないからです。
子供が生まれない理由は、結婚をしないからです。
結婚をしない理由は、給料が安いからです。
大抵の人は結婚相手を探す場合、給料が安い人、給料が上がる可能性のない人、給料が上がらない人、ましてや給料をもらっていない人と結婚しようとなんて思いません。たまに無職なのに結婚する人・結婚しようとする人もいるようですが、それで結婚できるのは超レアです。
だから給料を支払うと、こうなります。
結婚します。
子供が生まれます。
人口が増えます。
結婚しても全員が子供を授かるわけではありませんが、結婚が増えることは子供が増えることにつながります。結婚が増えて子供の減少が加速することはないでしょう。
だから、経営者の皆さん。従業員に「ちゃんとした額」の給料を支払いましょう。
そうでないと、今この瞬間のあなたが良くても、日本そのものがなくなります。
日本そのものがなくなるといっても、いきなりなくなるわけではありません。
給料が安い、結婚しないことは、人口が減り、若い人が減ることにつながります。
ひょっとすると日本に移住する外国人数が増え、若い人の比率が一時的に増えたりするかもしれません。でもそれは一時的なものです。やはり給料が安くて生活が苦しくなれば、いずれまた同じことが起きます。
国民全体が貧乏になると、今の日本の資産を維持できなくなる可能性もあります。目先の費用の捻出のため、資産を売却する可能性があります。ピンチのときに売ろうとすると、安くしか売れません。
その際、安くなった日本の資産を外国の資本が安く買い取っていきます。少しずつ日本の資産が外国のものになっていくことで、日本がなくなります。中国が北海道の水源地や都内の一等地などを購入していて、日本の土地が中国人の所有になっているのは、その日本の外国化の現れです。
資産だけではありません。人においても、あなたの子供や孫が外国に取られてしまうかもしれません。取られるというのは、外国の人と結婚することだけを指しません。日本で住むより外国で暮らした方がよいと、海外に出て行くことも指します。
これも日本人と外国人の血が混ざることで、遺伝子的に100%の日本人が失われたり、日本人が日本からいなくなることになります。
だから従業員に給料をちゃんとした額を支払わないと、人口が減り、益々苦しくなります。
ちゃんとした額を支払われなかった給料はどこに行くのか
本来支払われるべきだった、ちゃんとした額で支払われなかった給料はどこに行くのか。
それは上層部のところに行きます。
上層部に行ったお金はどこに行くのか?
行ったまま動きません。
何で動かないのか?
使う所がないからです。
つまり、必要以上にもらいすぎということです。
富は上層部に集中します。
金は天下の回りものと言いますが、現代ではお金が回れば回る程、上層部に集まります。溜まります。淀みます。
回っていないお金は、世の中的には無いのと同じです。
不思議なもので、もらえばもらうほど、貯まれば貯まるほど、より貯めたくなるのが人間です。
一定水準まで貯まれば、そんなに必要なものではないのでは?とも思えますが、実際そうならないのが人間です。
お金が回るほど、富が集中するスピードが速くなる
そして現代ではお金が回るスピードが速いほど、富が集中するスピードが速くなります。
昔は会社の決算は一年に2回でした。
今は1年に4回あります。
経営の透明化やより正確に素早く会社の状況を把握し、より良い経営判断ができるように、などと言ってますが、それ以外にも理由があります。富をより早く集めるためです。お金は回れば回るほど、言い換えると、回す回数が多い程、富が集まるのが速くなります。
どういうことかというと、決算のたびにお金が動きます。決算結果で業績や利益や今後の見込みなどを見て、投資するからです。お金が動く時は、富が動く時です。利益を出す人がいます。反対に損する人もいるわけですが。
このお金が動く瞬間が、1年2回から、1年4回の2倍に増えたのですから、富が集まるスピードが2倍速くなったということです。
こうやってお金が回るほど、富は上層部に集中していきます。
株の売買で取引単位が最低1000株だったのが、100株や1株でも売買できるようになったり、100株以上になったり変わっているのも同様です。全ては富が上層部に集中しやすくするように都合よく作り替えられたルールです。
富が集中し、広く一般の人は貧しいまま。
それでも自分たちだけが良ければいいと言う考えです。
それでは全体は破綻しますよね。
給料を低く抑えるのも同じ理屈です。
給料は低く抑えれば押さえるほど、会社の利益は増えます。
会社の利益が増えると上層部のもらえる報酬は増えます。
資産家や経営者を初めとした上層部の人達は、一体いくらあれば満足するのでしょうか。
足るを知るという言葉を知らないのでしょうか。
人としてどのような哲学で臨んでいるのでしょうか。
富める者こそ自制が必要です。
どのような状態になれば満足を得られるのか?
何を目指すのか?
日本の少子高齢化の進行が止まらないのは、そうした社会的に影響力がある人達の私利私欲が生み出した一つの結果です。
(多分続く)
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