「正しい判断をしろ!」とよく言われますが、どうしたら「正しい判断」ができるのでしょうか。
正しい判断について、経営学の神様、ドラッカーはこう言っています。
「誰が正しいかではない。何が正しいかだ。」
何かが起こった時や何かを見る時に判断を謝らないため、どうすればいいのか?
その答えが「誰が正しいかではない。何が正しいかだ」にあります。
判断を間違えやすい場面
人が判断を間違えやすい場面にはパターンがあります。
代表的なパターンを押さえておくだけで、かなり判断ミスを防げます。
同調圧力
日本人に多いと言われることも多いです。
会議の場で話が進んでいったとき、人と違うことを言ったら仲間外れにされたり、怒られたりする組織があります。
会議を進行する人たちの中には、自分の意図する考えに同意を求め、流れと違う意見を言い出せなくする雰囲気を作る人がいます。
「何でも言っていいよ」と言われて、相手が期待していない意見を言ったら急に怒り出す人もいます。
そういう組織では本当は違うと知っていても、自分が不利益を受けるから意見を言わない場合が多々あります。
自分たちの意見に無理やり従わせるような、同調圧力の影響を受けると判断を誤ります。
忖度
関係者、当事者のある特定の人や集団にとっては良い判断でも、組織や社会全体にとっては良い判断ではなくなります。これも判断を誤ります。
事実に対応した判断が必要な場面なのに、誰か特定の個人を気持ちよくさせる判断をするのですから、当然判断は誤ったものになります。
誰か個人を怒らせてはいけないからと言って、事実を言わずに黙っているのも忖度に含まれます。
自分を保護するための嘘(失敗、間違いを隠す)
一時的に自分、関係者、当事者にとっては良い判断に見えても、実際は悪い判断になります。
「自分」は単に「個人」を意味するだけでなく、広く「仲間」「部署」「組織」「会社」「社会」「国」「地球」「宇宙」と捉えます。
自動車の部品を検査していないのに、検査したことにして出荷するなどはその例です。
その一瞬は「検査部」や「会社」にとっては良い判断に見えてしまったのでしょうが、結果は悪い判断になりました。
「カーボンゼロ」と流行り言葉がありますが、人間が何かを作るのに「ゼロ」はあり得ません。社会全体で嘘をついているなと思います。自然の浄化能力を超えた時点で、悪くなるしか道はありません。あとは悪くなるのをいかに遅くできるか?のみです。それに気付いていながら「ゼロ」だなんて良く言えたものだと思います。気付いていないフリ(嘘をついている)しているだけです。
その時は良く見えても最終的には悪い結末を迎えます。
声が大きい人の意見が採用されやすい職場や組織
自分の力を誇示したい人や意見を通したい人、誰かの意見の上に自分の意見をかぶせ、自分の方が優秀だと見せたい人など、自己顕示欲が高い人、承認欲求が強い人がよくやります。
物理的な声のボリュームを大きくし、相手を威嚇・恫喝・脅迫(パワハラに近い)と同じような状態を作り、判断を誤らせます。
理屈が通じなかったり、通じても屁理屈を言って意見を通そうとするので、周囲の人も面倒になり、それ以上何も言わなくなります。そして誤った判断のまま進んでいきます。
声が大きい人は、「自分が勝った」「自分が正しかった」と勘違いし、「自分は偉い」と思ってしまいます。だからエスカレートしていきます。そのうち誰も何も言ってくれなくなります。周りが何も言ってくれなくなったことに気付かない人もいるので、いつしか裸の王様になっています。そうなると基本的な判断を間違えていることにも自分では気付けません。誰かに指摘を受けると逆切れしてきます。その人はもう終わりです。
そしてどんどん判断を誤っていき、個人も組織も末期を迎えます。
思い込み
思い込みも判断を誤らせます。
人の記憶が「100%正しい」ことは多くないので、うろ覚えのことでも知っていると思い込んで、判断すると誤ります。
「○○が言ったから」とか、人を基準に判断しても誤ります。どんなに権威の人でも正しいことと、間違っていることがあります。人や肩書を基準に判断すると謝ります。
また、今と昔で同じところ、変わったところがあるのが当然ですが、昔の記憶や経験だけを頼りに判断して誤ることもあります。今は昔と違うのに。5年前は正しいことでも、今は間違っていることもあります。
世の中は進歩しています。
判断を誤る原因
このように判断を誤るにはパターンがあります。
共通するのは「事実には関係ない力が働き」、「判断するための前提条件や根拠がおかしくなる」ことです。
判断の前提となる条件や根拠が誤っていると、その前提条件での判断は間違えていなかったとしても、結果としての判断は誤ったものになります。
例えば、組織で問題があって、単純化すると問題は「1+1」だったとします。
でも先の真実とは関係ない力が働くと、前提となるものが変わってしまいます。本来の問題が「1+1」であるのに、問題が「1+3」として捉えられてしまうこともあるのです。
判断する人は、「1+3」問題と捉えて答えを4と出します。「1+3」に対する判断としては間違えてはいないことになります。
しかし本来の問題は「1+1」なので、2が正解です。
だから4と回答したことは、「1+3」の問題を正確に判断して間違えていないのですが、本来の問題は「1+1」なので、結果としては間違えたことになります。
このように前提条件が正しくないと、どれだけ正確な判断ができる者でも間違うのです。
まとめ
判断ミスを避けるためには、前提条件を正しく把握することが重要です。
「誰が」言ったかではなく、「何を」言ったかに注意を払うことです。
「誰が正しいかではなく、何が正しいか」です。
役職、年齢、性別、社歴、肩書は関係ありません。
新入社員だろうが、ベテラン社員だろうが、「何を」言ったかを聞き、「何が」正しいか、判断することが大事です。
これはなかなか難しいことです。
あなたはできますか?
学問なら、幼稚園児の言うことを素直に聞けるでしょうか?
大学教授の言うことを否定できるでしょうか?
会社の仕事なら、新入社員の言うことを素直に聞けるでしょうか?
社長の言うことを無視できるでしょうか?
スポーツなら、素人の言うことを受け入れられるでしょうか?
プロの言うことを拒否できるでしょうか?
言うのは簡単ですが、なかなかできないのではないでしょうか。
でも諦めてはいけません。曇りメガネではいけません。事実を見極める眼を持たなければなりません。。
見えないものを見る力が必要です。
間違った判断をしないためには、判断に不要な要素は極力排除することが大切です。
正しい判断ができるようになって、良い人生を歩んでいけたらと思います。
正しい判断をするためにやってはいけないことがあります。
「自分を正当化すること」です。
これをすると成長からどんどん遠ざかります。
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