あなたの周りに文句を言う人はいませんか?
周りに文句を言う人は、周りに期待しすぎなんじゃないかと思います。
例えば、よくある文句を言っている場面は、以下のようなものがあります。
【文句を言う場面の例】
・部下に仕事を頼んで、できてると思ってたのにできてなかった。
・上場企業なのに、タイムカードがない。
・上司なのに、部下を助けてくれない。
・営業なのに、トークが上手くない。
・新人なのに、電話を取らない。
・設計なのに、技術を知らない。
・入社30年目なのに、内線を回せない。
・入社30年目の課長なのに、入社5年目の平社員より営業成績が悪い。
・大人なのに、食べ方が汚い。
・彼氏なのに、彼女に100%優しくしてくれない。
・家で畳の部屋で昼寝していて何もかけてないのに、タオルケットをかけてくれない。
・・・このように、ちょっと例を挙げただけでも、たくさん出てきます。
たいてい「○○なのに、××できてない・してくれない」という構造です。
なぜ文句を言うかというと、それぞれの頭の中で勝手に「◯◯はこうあるべきだ!」と幻想に近いものや、「他人にはこうしてほしい。こうしてほしかった」という願望があるからです。理想と現実に大なり小なりギャップがあり、理想の方が頭の中で強くなってしまっているからです。
要するに、文句言う人は、「◯◯なのに、」の○○の部分に期待しすぎているのではないでしょうか。
周りの人に期待するのは、周りの人を信頼していたり、理想像をイメージできていたり、相手の能力を認めていたりすることの結果なので、悪い事ではないです。
でも世の中、そんなに全員が優れた人かというと、現実的にはそうではないです。
例えば、世の中には能力的に優れた人が正規分布の通りの比率で存在するとします。ダメな人、普通の人、優秀な人の能力値と存在比率は偏差値で表現されます。(下図)

話はそれますが、この表は日本から優秀な人が減り、中国から優秀な人が次々輩出される説明としても利用されることが多いです。優秀な人は一定割合存在するので、日本より人口が約10倍多い中国は優秀な人の数が約10倍多い、という説明です。
具体的な数で考えるとこうなります。
日本の人口が約1億2000万人だとし、優秀な人が15.8%いたとすると、1,896万人になります。
中国の人口が約14億人だとし、優秀な人が15.8%いたとすると、2億2120万人になります。
人口で比べると、1億9314万人の差があります。日本人の総数以上の優秀な人が中国には存在することになります。
こう考えると日本と中国には圧倒的な差があることがわかると思います。
話を元に戻すと、表について仮に偏差値60以上の人を優秀な人とすると、偏差値60以上の人は、上位15.8%しかいません。残り84.2%の人は能力的には普通か普通以下ということです。(ちなみにここで言う偏差値は学力だけのことではありません)
100人の人がいたら、16人くらいしか優秀な人がいないことになります。
30人なら、5人くらいです。
あなたの身近な会社、組織、集団ではどうですか?優秀な人はこのくらいの比率になっていませんか?
だから、会社、組織、集団、世の中で起こることの84.2%は、普通か普通以下のことになります。偏差値60以上が「優秀」と言っても、「完璧ではありません」ので、不満が残ることもあるでしょう。残った不満の量は少なく、不満の質も低くて大した不満ではないかもしれませんが、不満そのものが「ない」か「ある」かで言ったら、「ある」でしょう。
こう考えると、そもそも世の中から不満は消えない構造と言えます。不満がないことなんて、ないです。
さて、これを踏まえて、ちょっと立ち止まって考えてみて下さい。
もしあなたが文句を言っている人だとして、その文句を言っている相手は誰ですか?相手は人に限りません。会社や組織も含みます。
その人、その会社、その組織は、世の中的に偏差値60以上ですか?
もしそうでないなら、「文句なんてあって当たり前」だから「文句なんて言っても仕方ない」とは思えないでしょうか。そもそもそんな優秀な人や集団ではないし、仮に優秀な集団だったとしても、文句の元となる不満は無くならないからです。
では、不満を無くすにはどうしたらよいのでしょうか。
他人が変わるか、自分が変わるかです。
他人を変えるのは結構大変です。基本的には「ほぼ無理」くらいの感覚でいた方がノイローゼにならずに済みます。変えようと思ってもなかなか変わらないのが他人です。先ほどと同様、他人は人だけでなく会社や組織を含みます。変わらないわけではありませんが、変えるのが大変です。かなりのエネルギーを使います。
次に自分です。こちらは「ほぼ確実」に変えることができると思っており、2つの方法があります。
1つ目は物理的に自分を変える方法です。勉強や筋トレなど自分を鍛えることで、自分が変わることはイメージしやすいと思います。もし他人に文句があったとしても付き合う人を変えればいいし、会社に文句があるなら会社を変えればいいです。他人を変えるのと同様、自分を変えるのも大変ですが、変えることはできます。自分を物理的に変えることで不満を減らすことができます。面倒くさくて、やらないことが多いだけです。
もう1つの方法は、精神的に自分を変える方法です。世の中の出来事を、もっと大らかに受け止めることです。そもそも優秀な人は少なくて、世の中の大部分が普通かそれ以下のことしか起こらないわけです。完璧なものがないのに完璧を求める方が普通じゃないです。完璧=普通と勘違いしないようにしましょう。完璧なことの方が異常です。自分の受け止め方を変えることで不満を減らすことができます。
受け止め方を変えるのに、次の例を見てましょう。
・今のところ100%当たる天気予報はありませんが、それでも良く当たるのですごいです。
・野球で大打者のイチローさんでさえ3~4割しか打てません。10割打てませんが、でもイチローさんはすごいと言われます。
・バスケットボールの金メダルチームだって、相手から何十点も点を取られてます。試合全体では勝ったかもしれませんが、一部を切り取ると負けが何十回もあるということです。100対0では勝てませんでしたが、メダルを取る事はすごいです。
このようにどれも100%の完璧ではありません。でも完璧でなくてもどれもすごいことです。このような例はたくさんありますよね。
それに比べたら普段周りで起きていることなんて、圧倒的にすごくないことで溢れていると思えませんか?知らないうちに100%を求めすぎていませんか?完璧主義になっていませんか?
周りに文句を言ってしまう人は、周りへ期待しすぎることをやめて、完璧を求めすぎず、自分を物理的に変えたり、起きたことを大らかに受け止めると、もっと気楽に、前向きに生きられると思います。
あなたのお役に立てれば幸いです。
【今日の名言】
『何ごとも期待してはいけない。
愚かな人は、他人に期待し、頼りにするから、
恨んだり、怒ったりする。』
(吉田兼好『徒然草』)
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