組織を拡大したいけどできない。なぜそうなってしまうのでしょうか?
組織を拡大するには法則があります。
結論から言うと、その法則は、業務フローと所要時間を明確にすることです。
売上が増えても人はすぐには増えない
「組織拡大=人員増」という話はついて回ります。
しかし、人を増やす話をするとそれだけで嫌がるのが経営者です。
例えば、今年の売上が2倍になったからと言って、すぐに人は2倍に増えません。
理由は、固定費が増えるからです。
人を増やした結果、売上が上がらなくなったら、増えた固定費が利益を圧迫します。それが怖いのです。
当然です。
人員を2倍にしたのに売上が半分になったらと思うと、ぞっとします。
あなたも今年の給料が2倍になったからと言って、来年も再来年も今年と同じ給料をもらえる保証がないとしたら、今の家が狭くて我慢していたとしても、家賃が2倍の広い家に引っ越しますかと言われればどうでしょう?引っ越しませんよね?
会社も同じで、売上が増えても人員はすぐには増えません。
会社の売上と人員の関係を考える時、卵が先か?鶏が先か?のように、売上が先か、人員が先か?となりますが、これについては業態にもよると思います。
売上を2倍にするためには、必ず人員が2倍にならないといけない業態があります。
例えば、塾の講師でマンツーマンを売りにしているところがあるとすれば、生徒が2倍にするには先生も2倍にしなければなりません。
電気工事なども2倍の工事量をこなすには、2倍の人が必要です(こちらの場合は効率も関係してきますが)。
製造業も1人で作れる量が決まっていれば、2倍の量を作るには2倍の人が必要です。
営業系でも1人で対応できる上限量が決まってる場合は、2倍の量に対応するには2倍の人が必要です。
逆に人員が2倍にならなくても、売上が2倍になる業態もあります。
例えば、インターネット販売なら売上が2倍になっても、人員は2倍でなくてもよい場合があります。ただし、物流など、部門によっては2倍必要なこともあります。
このように売上を2倍にするのに、人員を必ず2倍にしなければならない場合と、必ずしも2倍にしなくても良い場合があります。
売上が上がると業務量が増える業態、部門の場合、同じ人数で売上を2倍にする、2倍の物量に対応するのは容易ではありません。単年度なら何とか無理をして達成できるかもしれませんが、継続するのは無理があります。
人員を2倍にしなければならない場合は、素直に2倍にすればよいのですが、これすらやらない経営者が残念ながらいます。
まずは仕事の量と質を上げていく
売上を2倍にするにはどうするか?または2倍になってしまったらどうしたらよいのでしょうか?
まずは仕事の量と質を上げていくことです。
仕事の量の観点から考えると労働時間を増やすことが考えられます。
しかし単純に1人あたりの労働時間を2倍にすることは不可能です。
8時間働いていたなら16時間になるということですから。
働き方改革が叫ばれている時代でこの方法を取る会社は危ない会社認定間違いなしです。
そうだとしても、労働時間2倍は極端でも、多少長くする方法は取り入れられる可能性があります。
次に仕事の質の観点から考え、効率を上げていくことが考えられます。
こちらもそうはいっても、効率を2倍にするのもまた難しいです。
全ての業務を2倍速で行うか、半分の労力でできるようにするか、あるいは両方組み合わせるか。
業務内容によってはITの効率的利用でやれそうではありますが、このご時世ですから全くIT利用がないところの方が珍しいと思います。ある程度IT利用されている前提で考えると、そこから更に2倍の効率に持っていくのもなかなか難しいのではないでしょうか。
人の育成で効率を2倍にするのも、短い期間で2倍にするのも厳しいです。
ただ、システム改変と人の育成で2倍まではいかなくても、改善の余地はあります。
このように、そのままの人数で売上を2倍にしようとした場合、仕事の量と質を上げていくことで、まずは対応していきます。
これをやらないとどうなるかというと、日常の現場がアップアップになっていきます。
社員が疲弊していきます。
組織を拡大するときには、業務フローと所要時間を明確にすること
仕事が増えて、売上が2倍になって、喜ばしいことではありますが、企業は売上が2倍になったら次は3倍に。3倍になったら4倍に。とだんだん目標値を上げていくものです
2倍なら人を増やさずになんとかできたとしても、10倍にするのは不可能ではないでしょうか。
組織を拡大するなら、いずれ人を増やさなくてはなりません。
しかし、そこでも人を増やす算段がつけられない場合があります。
なぜでしょう?
それは結局、次の理由からだと考えます。
業務フローと適正な所要時間と、社員が適正時間で終わらせられているかを把握していないからです。
だから人を増やす算段もつけられない。
今いる人員でなんとかやれ!とか、できるはずだ!という、根拠のない精神論が多いです。
従業員はサボってるはずだ!手を抜いているはずだ!活躍してない従業員がまだいるはずだ!120%いや200%働け!と経営者は考えています。
経営者が従業員を奴隷と勘違いしている、よくある間違いです。
経営者が従業員をどう認識しようと勝手ですが、現実的にはそれだと先にお伝えした通り、現場で社員がどんどん疲弊していきます。
従業員が「今を乗り切れば」と必死で仕事しても、報われません。従業員が報われない会社で従業員がどうなるかというと、辞めます。やったふりします。ミスが増えます。増えても気にしません。改善しません。どーせやっても、と思います。経営者は従業員にバカにされます。従業員は言うこと聞きません。もちろん聞くフリはします。・・・結果、会社は最悪の状態になります。
経営者にとっても、従業員にとっても、いいことありませんね?
ということは、今いる人員で「できない」ということを、経営者は、「正しいこと」として考えなければなりません。
状況は冷静に正確に把握して、適切な対応をしていくべきと思います。
現状を冷静に見て、
適正なフローか?
適正な時間はどの程度なのか?
適正な内容・適正な時間で、普通の人ができるのか?
その内容・時間でできる人に育っているか?
それで適正な利益が出ていなかったり、適正な給料が支払えないようなら、利益の出ない事業だったということです。従業員に損を押し付けているだけです。
値上げか、コストダウンか、事業を辞めるかを考えた方が良いと思います。
(企業理念に沿った重要な仕事は別枠ということもあるかもしれません)
従業員が適正なフローで、適正な時間で仕事をしていて、それでも過度に忙しかったり、組織や従業員の能力を超えているようなら、きちんと人員増強していきましょう。
まとめ
組織を拡大するには、適正なフロー、適正な所要時間を絶対に把握すること。これが組織拡大に必要な法則になります。
経営者が、従業員がしている仕事の内容を、しっかり把握できて、適切な働き方をしているとわかり、人を増やしても利益が出るとわかれば、人員を増やす決断ができるはずです。
いきなり人員を2倍にするのは困難でも、少しずつ増やしてみることはできます。
増やす前と後を比べてみたらどうでしょうか?
人員を増やした後は、それぞれの結果を比較してみたらよいです。
良い結果が出れば、より組織を拡大する決断ができると思います。
皆さんのお役に立てれば幸いです。
コメント