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「狭く深く」の一点突破だけで起きる【合成の誤謬】を防ぐには、「広く浅く」のバランス感覚を持つことが重要

仕事ができる人になる

あなたの得意なものは何ですか?

明確に「これが得意!」と言える人もいれば、色々まんべんなくできて特にこれといったものが無いと言われる方もいると思います。「広く浅く」バランスの取れた方なのでしょう。

近年印象として感じるのは、特定の分野に「狭く深く」得意な人が取り上げられることが多くなり、それが一番大事であったり、過剰な推奨までされているように感じます。

「好きな事で生きよう」とか「得意なことで稼ごう」とか、以前より増えている印象です。

「広く浅く」バランスの取れた方は、これからの時代に自分たちは不要になってしまうのか?と不安に思うかもしれませんが、その必要はありません。

なぜなら「狭く深く」も大事ですが、最終的には「広く浅く」の活躍も必要だからです。

「狭く深く」の一点突破が増えた理由

「狭く深く」の一点突破の例は、スポーツでの例がイメージしやすいです。

例えば、4歳のころからラケットを握り、毎日何時間も母親と球を打ち合い、成人して日本代表入りし、オリンピックに出場し、メダルを取って・・・素晴らしい!という具合です。

スポーツ以外の学問や、音楽でも同様です。

英才教育は昔からあります。

例えばモーツァルト。モーツァルトの父親は優れたヴァイオリニストで、名教師でもありました。モーツァルトの父親が書いたヴァイオリンの教則本は世界中で販売されているくらいです。モーツァルトは自身の才能に加え、高水準の音楽教育を受けることで、5歳でピアノソナタを作曲しています。

モーツァルトは一例です。

このように「狭く深く」の英才教育は昔からありますが、最近は以前より進んでいるように感じます。

進んでいるというか、細分化がされすぎている印象です。

学問なら、モチベーション行動科学部、マンガ学部、危機管理学部といったものまであるようです。

そこまで細分化し、狭く深く掘り下げるのか、と思えます。


戦略的には、ある特定の一分野を狭く深く取り組んでいくことは、弱者が強者に負けずに生き残る方法として有効な方法です。(ランチェスター戦略)


一方で、本当は幅広くカバーしたくても、一つ一つのことが昔より深く掘り下げられていてレベルが上がり、一人が全ての範囲を深くすることが困難な時代になっているとも言えます。

例えば、個人が触れて得られる知識・情報は桁外れに多くなっており、人間1人の頭では抱えきれないくらいになっています。


世界の情報流通量は、アメリカの市場調査会社、International Data Corporation(IDC)の2020年5月の発表によると、10年前の60倍、20年前の約1万倍の59ゼタバイトになっているそうです。

(1ゼタは、1テラの10億倍です)

しかもこれから5G、IoT、AI化が益々進み、過去の情報蓄積だけでなく、リアルタイムで情報が蓄積・流通されていきます。情報流通量はさらに爆発的な増加をしていきます。

そんな時代なので、昔なら物知りと言われた人でも、今は単純な知識や情報の量ではコンピュータにはかないません。

今に始まった話ではありませんが、広い分野で深く知り尽くすのは事実上不可能と考えられます。


このように知識や技術の広がりは全ての分野に及び、全ての分野でそれぞれの知識や技術が掘り進められています。ある特定の一つの分野のプロになるにもかなりの時間を要する時代です。

昔なら、例えばスポーツなら野球が代表的なもので、ほとんどの人が小さいころから野球をやっていました。やっている人が多いので、野球でプロになるのはかなり大変でしたでしょう。

スポーツでプロになるには、他のスポーツの方が、やっている人が少ない分、野球よりハードルが低かったかもしれません。高校生から始めてプロになれるスポーツも多かったのではないでしょうか。競合選手が少なく、周りのレベルも低かったためです。

だから日本ではプロを名乗れても、海外では通用しないスポーツも多かったのだと思います。なぜなら海外の人は小さいころからある程度多くの人がそのスポーツに取り組んでいて、日本のプロとのレベルにかなり差があったからです。

例えばサッカー、テニス、ゴルフなどだとイメージが付きやすいと思います。

今は世界的に活躍する選手がたくさんいますが、20年前は今よりずっと少なかったです。

日本でプロでも世界で同じように活躍するのは大変なことでした。

でも今はサッカー、テニス、ゴルフ、・・・レベルが格段に上がりました。ほとんど全てのスポーツにおいて、日本でプロになるのにも幼い頃から全ての時間を投入しなければならないほど、競争が激しいです。

より早く始め、より特化しないとその道で一番にはなれない。

競争に勝つには早く始めることだ。

こうやって早く始める英才教育が広がりました。

だからどんどん狭く深くなっていく。

全ての分野で深く知り尽くすことができないから。

特定の分野に絞り深く知ることが競争に勝つ方法だから。

これが一点突破が増えた理由です。

結果として、一個人として時間のほとんどをある特定のことに費やして、その道だけで生きていく。

それでいい人もいるのかもしれません。

でも、それがいい、それでなくてはいけない、という節が、世の中にとても多くなっている気がしています。

一点突破、一芸に秀でる、と言えば聞こえが良いかもしれません。

個人レベルでは一点突破で良いのですが、組織レベルになるとバランス感覚も一点突破と同じくらい重要になってきます。

その理由は「合成の誤謬が起きるから」です。

一点突破だけが集まると合成の誤謬が起きる

一点突破は言い換えると部分最適です。ある特定の限られた範囲だけを切り取って見た場合、うまくいっていて問題がないように見えてしまうことがあります。

しかし、ちょっと引いて全体を見渡した場合に、問題になっていることがあります。部分的には良くても、全体的には良くない。そういうことが起こってしまいます。

全ての人が一点突破だと部分最適が蔓延し、全てを結合したときに、うまくいかなくなり全体最適になりません

合成の誤謬が起きます。

合成の誤謬とは、「ミクロの視点では正しいことでも、それが合成されたマクロ(集計量)の世界では、必ずしも意図しない結果が生じることを指す経済学の用語 (wikipediaより)」です。

限られたそれぞれの範囲(ミクロ)ではうまくいっていても、全体(マクロ)として見るとうまくいっていないことが起こります。

「正しいこと+正しいこと=正しいこと」にならずに、「正しいこと+正しいこと=間違った結果」になることがあります。

合成の誤謬の身近な例

合成の誤謬の身近な例を挙げてみました。
①少子化
②デフレ
③会社
④経済と環境

それぞれ見ていきましょう。

①少子化

【ミクロの視点】

出産、子育て、教育の費用負担に対し、親の所得が釣り合わないから、結果として子供を産まない。

お金がないから育てられない。だから産まない。というのは、その夫婦にとっては当然の考えで正しいことです。

【マクロの視点】

子供が減り、人口が減り、仕事が減り、国全体としての所得が減る。

所得が減ると、税収が減るので、出産、子育て、教育の費用の税による補助がさらに薄くなり、結果としてさらに少子化が進み、国力が低下する。トータルとしてはマイナス。

②デフレ

【ミクロの視点】

不況だから将来に備えて、出費を抑えたり、貯蓄する。

仕事がなくなったり、収入が減ってしまうかもしれないのだから、個人としてはお金を使わないのは当然です。


【マクロの視点】

みんなが必要以上にお金を使わなくなるので、ますます不況になっていく。

不況になるのは、全体としては良くない。不況になると全体的に収入が減り、ますます不況が加速します。トータルとしてはマイナス。

③会社

【ミクロの視点】

製造部門の仕事が忙しく、手間を省くために業務が簡略化された。いくつかの業務はやらなくてよいことになったり、仕事のやり方が変更され、毎日2時間相当の業務が減った。

業務改善され、製造部門の業務が毎日2時間相当も減ったのだから、よい改善と言えます。

【マクロの視点】

製造部門の業務は簡略化されたが、実は代わりに営業部門の業務が増えた。結果として、営業部門での確認事項や手続きなどが増え、毎日2時間以上の業務が増えた。

製造部門の負担は減っても、営業部門の負担はそれ以上に増えたなら、トータルとしてはマイナス。

④経済と環境

【ミクロの視点】

さんま漁が儲かるからと一度に大量のさんまをどんどん取る。大きいのも小さいのもたくさん取れてたくさん売れた。

その会社の一年の収支だけで見れば、たくさん捕れて、たくさん売れて儲かったのだから良いことと言えます。

【マクロの視点】

小さいさんまも根こそぎ捕ってしまったので、翌年以降さんまの水揚げ量が激減し、さんまがいなくなり二度と捕れなくなってしまった。

漁獲量を抑えていれば数十年安定してさんまが捕れていたのに、数年でさんまが二度と捕れない状況になり、誰もさんまが食べられなくなり、トータルとしてはマイナス。

このように、ある部分では良い結果だとしても、全体では良い結果にならなくなってしまうのが、合成の誤謬です。

合成の誤謬を防ぐには「広く浅く」のバランス感覚が重要

それでは合成の誤謬をできるだけ防止するために、何に気を付けたらよいのでしょうか。

仕事の例で考えてみます。

仕事には、総務、経理、営業、設計、製造、物流・・・など、各部門ごとに精通した人がいることは重要です。組織が縦割りになっているなら、その中で一点突破できる人がいることがまず必要です。

でもそれだけではダメで、全体的にある程度知っている人がいることも同じくらい重要です。

横ぐしを刺すとか、組織横断型の人とか、全方位とか、組織の垣根を越えてとか、色々な表現があります。

特に重要な役割を果たすのが、経営層です。

経営層にいる人、経営層に近い人ほど、ある程度広く知ってなければなりません。

トップの経営者は全体を知っていなければなりません。

ここで大事になってくるのがバランス感覚です。

どこかを強めればどこかが弱まる。

一つのところに力を加えると、他のところが揺らぐ。

他のところの揺らぎを押さえようと、別のところの力を加える。

どこにどのくらい力を加えたら良いか?

どこが不足していて、どこが過剰なのか?

どこが弱くて、どこが強いのか?

それがわかるのはバランス感覚なのです。

個人レベルでは一点突破で大丈夫ですが、組織レベルではバランス感覚が大事になってきます。

一点突破型とバランス型のどちらが良いか?という二択ではないのです。

全体をまとめるのにはバランス感覚が重要です。

まとめ

現代は今のところ、個人レベルで全てのことを全て知り、全てをできるようになるのは不可能な時代です。

「広く深く」を個人でやろうとすると膨大な時間と努力が必要になり、大抵の人はできません。

だから個人レベルで競争に勝つために、範囲を絞った「狭く深く」の一点突破型が増えました。

しかし全員が一点突破で部分最適をすると合成の誤謬が起き、全体最適ではなくなります。

組織レベルで競争に勝つには「広く浅く」のバランス感覚を持ち、全体最適にしていくことが重要です。


一点突破が大事だ!と言われすぎている感じが多くありますが、実際は一つの要素が秀でている人と、バランス感覚が秀でている人のどちらも必要です。

あなたがもしバランス感覚を持った方だとしたら、一点突破型の人達を、全体を見る立場からまとめるようにしてみましょう。組織レベルで活躍できる可能性が高いです。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

全体最適についてはこちらもご参考下さい。

全体最適で組織のパフォーマンスを最大化する

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→あなた自身の土台を大きくすることが、成長の高さを決める

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